脳の活性は噛むことから

ボケ予防と8020運動

 日本は平均寿命で世界一の長寿国となり、「人生八十年」時代の到来がいよいよ現実のものとなりました。厚生省の発表によりますと、百歳以上の老人がついに七千三百人の大台を突破、また六十五歳以上のお年寄りの総人口に占める割合いが15.1%(一千八百九十九万人)にまで膨らみました。この数は、我が国の人口高齢化がピークを迎える2025年には優に三千万人を超えると予測されています。
 
こうした社会の成熟と相俟って、今大きな社会的テーマとして急浮上しているのが根本的な治療法のない痴呆(ボケ)高齢者問題への対応です。この病気は高齢者人口の増大に伴って確実に増え、しかもこれに対する治療法も予防法もないというのが現状です。その数は現在百二十六万人、2010年頃には約三百万人へと幾何学的に増加します。
 
痴呆症の原因解明に向け、日本はもとより世界中の研究者によって人の知的能力を司る脳の医学研究が盛んになっていますが、同時に最近は消化器系の第一関門である歯、特に咀嚼と脳の活性化および老化防止との関連性に大きな関心が集まっています。その理由は、安定した歯の噛み合わせが人間の思考力や判断力、情緒安定などに深く関連していて、しかもその全身に及ぼす影響が少なくないからです。

 “8020運動”とは、八十歳で20歯(人間は通常28本から32本の歯を持っています)残っているようにしましょうという運動です。八十歳で20本の歯を持つというのは、なかなか大変なことです。日頃からの歯磨きと歯石除去と早期の歯科治療がなによりも大事です歯の健康と老化防止といった包括的なテーマのもと「歯の大切さ」「健やかに暮らす老後」といった人生の共通の目標に向かって努力しましょう。